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元・外資系銀行員の自腹で通う英会話スクール

元・外資系銀行員で英語の苦手な筆者が、自腹で英会話スクールに通った経験を元に各スクールを徹底比較。外資金融の内輪話や、転職事情なども紹介。

外資系銀行員の独り言〜外資金融と日系企業の働き方の違い

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外資金融と日系企業の働き方の違い

またもや英会話の話題ばかりで飽きてしまったので、少し脱線して外資系金融機関と日系企業の働き方の違いを、筆者の完全主観でご紹介してみたいと思います。

 

筆者は新卒から直接外資に入社したため、正直日系企業のルールを熟知しているわけではないのですが、それでも取引先やカウンターパートの方々と話をする機会はたくさんあり、そこでカルチャーの大きな違いを痛感しています。筆者の経験が、外資で働きたいと考えてらっしゃる方々の一助となればと思い、記事にしてみます。

以下、外資=外資系金融機関と読み替えてください。

 

外資は「人」、日系は「ハコ」

これが全てと言っても過言ではありません。

外資はとにかく「人、人、人」のカルチャーです。全てが人に依存しています。

 

日系の会社で、それまで部長職を務めた方が定年退職した途端、受け取る年賀状の数が9割以上減った、という話をたまに聞くことがあります。端的に言えばこのロジックが「ハコ」です。「ポスト」と言い換えても良いかもしれません。

日系の会社の傾向として、仕事はポストにつくことが多いと感じます。部長が交代した時、それまで前任者を見て仕事していた部下が、たとえ180度違うやり方に変わったとしても、基本的に新しい人を見て仕事をします。新しいやり方への不満や賞賛はありながらも、部下はあくまでも部長という「ハコ」を見て仕事をしています。(もちろん、前任者が専務となって部長を統括する立場に昇進した際には、部長と共に専務をセットで見ることになります)

 

これに対し、外資の場合は人に仕事がついています。部長クラスの人がいなくなるケースだと通常他社に移ることが多いですが、その際に部下を連れて行くことは結構あります。(これを受けて、最近は退職条項に一定期間部下の引き抜きを禁止する条項が付与されることが増えました)

社外に移らない場合でも、社内の他のポジションに異動した場合、その人がリードしていたプロジェクトをそのまま部門を超えて持っていくことも多いです。もちろん、社内ルールで許される範疇に限りますが。

 

また、カントリーヘッドが変わった時などは、社内が蜂の巣をつついたような大騒ぎになります。今までのやり方が全部ひっくり返るので、言葉で表現するならば(某自動車メーカーではありませんが)「クーデター」が一番適切な気がします。

日系企業でもあるように、前任者に抜擢された人達は高い確率で排除されますが、外資はその度合いとスピードが桁違いです。タイトルの高い人ほど即クビになる確率が上がるので、慌てて次のポジションを国内外で探します。前任のヘッドが海外の拠点に移る場合、金魚のフンみたいについて行く人達も少なからずいます。

 

このため、外資の方が日系よりも人付き合いがディープな傾向にあると実感しています。上司が休日にホームパーティやイベントを開催することも多く、その場での所作を含め高いコミュニケーション能力が求められます。また、解雇事由に抵触するような辞め方でなければ、上司とFacebookやLinkedIn で退職後も繋がり続けますし、会社によってはアルムナイ向けのアプリがあったりします。

これは、特にアメリカにおいてコネや推薦がないと転職しづらい労働市場にも要因があると思います。

 

外資の仕事の密度

これは、もちろん部署や個人によって差がありますが、概して外資の方が仕事の密度は高いと思います。

特に外国人のエキスパッツの人達は、実は無茶苦茶働きます(たまに例外はあり)。彼らには残業して無駄に会社にいるというカルチャーがないため、時間内に効率的に仕事をやる意識が極めて高いです。驚異的な実績を上げて、かつ上司に認められ出世したスーパーな人達なので、筆者の体感では普通のスタッフの3〜5倍くらい仕事のスピードが早いです。ここでいう「仕事」とは、もちろんExcelパワポの単純作業のことではありません。本国のキーパーソンや要人、さらにはローカルの取締役会等、人や機関を動かして物事を完結させる能力のことです。

彼らは帰宅後に海外とのコールにも参加しますが、オン・オフの切り替えと仕事の要否の見極めがすごく上手いです。

 

また、IBDやMarkets、セールスの人達が殺気立っていることもあり、日系企業にある稟議書などの無駄な手続きは少ない傾向にあります。ただし、これらの作業も人に依存していますので、Approverの誰かが長期休暇でいなかったりすると、プロセスが大幅に遅れるケースもあります。

 

外資の評価体系

もうお気付きのことと思いますが、外資の場合は評価体系がとてもシンプルで、評価は上司に一任されます

社内的には一応360度評価とか導入してますが、これはあってないようなものです。原則、全ての査定は上司が行います。

 

日本企業の場合、上司が極端に低い評価を行おうとすると、人事が介入する形で救済する形が一般的なようです。社内異動で配置転換してキャリアをやり直させたり、逆に上司を移動させるケースも聞きます。そもそも部署異動が定期的に行われるため、2〜3年我慢すれば新しい上司に変わることが多いようです。

 

これに対し、外資金融では部署異動が原則ありません。ゼネラリストという概念がなく、スペシャリストの道を歩むことを求められるため、キャリアを変えたい場合、ジョブポステイングで大きなリスクを取って部署を抜けるか、転職するしか方法はありません。

このため、外資における上司の人事権は絶対的です。上司に口答えする、他の人の面前で反対するなどの反抗的な態度には、それなりの責任が伴います。上司が問題を起こしていて近日中に外されるとか、上司の無能ぶりが全社に知れ渡っている等の例外を除き、上司の命令には絶対に従わなければなりません。

万が一、上司に不満分子と認定されてしまうと、その会社では厳しい未来が待っています。場合によっては、業界内で悪いレピュテーションを流される可能性もあり、転職も難しくなります

 

もしあなたが、「自分はカッとなりやすい」とか「自分が正しいと思うこと以外はやりたくない」という頑固なタイプの方であれば、外資系金融機関への就職はオススメできません。そもそも、そういう方は面接で落とされてしまいます。

どんなに嫌な上司でも柔軟に受け入れ(残念ながら、嫌な人の割合はかなり高いです)、「上司が出世しないと、自分も出世できないのだ」という合理的な考えのもと、上司に忠誠を尽くせる人が生き残っていく世界です。冷静に考えれば、上司には自分よりも経験があり、外資金融で生き残っている実績もあるため、素直に従ってノウハウとコツを身につけるということがベストの選択肢なのだと思います。

一部の日本の会社のように、毎日仕事帰りに飲み屋で同僚と上司の愚痴を言い合ってストレスを発散させる時間的余裕もないため、この業界で長くやっていくには「素直に上司を受け入れる」ことが必要条件です。

 

外資の処遇

最後に、金銭的な処遇について。

一般に、同じ仕事であれば外資の方が給料は高いです。新卒の初任給で言えば、部署によりますがベースで600〜800万くらいでしょうか。これに加えて、タイトルに応じて深夜手当や残業代が付きますので、1年目に年収1,000万を超える人もザラにいます。

さらにMarketsやIBD・アナリストなどの拘束時間の長い職種は、20代で2,000〜3,000万もらう人は結構います。リーマンショク前は20代で5,000万とか1億円プレイヤーもいたようですが、現在はごく一部の例外を除いて、そこまでの高給取りはいません。

内部管理部門ではそこまで高くはありませんが、それでも日本の銀行より貰えるケースが多いと思います。

 

こちらのリンクに、多少の誇張はあるものの、なかなか上手くまとまっています ↓

https://gaishishukatsu.com/column/category/業界別コンテンツ/投資銀行

 

だだし、これは在籍年数の少なさを加味した金額であることに留意する必要があります。フロントの部署だと平均在籍期間は3〜4年くらいでしょうか。実は外資金融の場合、長く働いた場合の退職金制度が以外と充実しているのですが、これを享受できる人はほとんどいません。

実績が出せず脱落する人、わずかなパッケージをもらってクビになる人、他の業界に希望を見出して退場していく人たちがほとんどです。給与の高さが割に合うかどうかは、正直微妙なところだと思います。そもそも入るのも難しく、筆者の時で新卒の競争率は2,000〜3,000倍、現在は10,000倍以上です。

 

結局、外資金融の給与の高さにはそれなりの理由がある、ということでしょう。能力が極めて高くてメンタルも強く、どんな上司ともやっていけるだけのコミュニケーション能力を持ち合わせたスーパーな人には、僅かながらも勝ち続けられる可能性があるのだと思います

ただそれよりは、若い時に他ではできない経験を積む事で、次のキャリアで活躍する準備をしておくという考え方の方が現実的だと、筆者は考えます。

 

以上、筆者の完全主観による独り言でした。